「あんたんとこの近くに温泉跡あんで。」
「温泉跡?」
いや、正直、あんまりそそられへんな、とは思った。
でもまぁちょっとインターネット博士にでも聞いとくか
と、検索してみたら、これが案外情報が少ない・・・。
ちょっとそそられてきた。まぁだからと言って、
徹底的に調べたりはしないんだけど。
出てくる情報と言ったら、なんとなく中途半端だ。
名前は「社宮司温泉」というらしい。
でもいつ出来て、いつ「跡」となったんだか、さっぱり
わからない。
国土地理院には・・・おっ、ちゃんと温泉マークが
あるじゃない。
拡大したら消えちゃう。
空からの写真。
2007年。建物が見える。
けどどれが温泉なのかわからない。
1979年〜1983年。林だな。
川に何やら堰みたいなのが見える。
2004年の写真が無いのは残念。
1974年〜1978年。
もちろん林。堰は有る。
1961年〜1969年。ありゃ?これまた何か有る。
これはグーグルマップ。
車がいっぱい置いてある。
今度は「社宮司温泉」で検索してみた。
鳥羽のホテルで数軒、この名前で風呂が有るようだ。
そしてその説明文が、どこもだいたいおんなじことが書いて
ある。その内容がなんだか謎なんだよな。
あるホテルのサイトだと、
「清少納言ゆかりの湯「七栗の湯」で有名な七栗に
源泉をもつ美肌温泉」
七栗に源泉をもつ? 本文では
「当館の「社宮司温泉」は、榊原温泉と安濃川を隔てた
場所に位置する清少納言ゆかりの「七栗の湯」で有名な
「七栗」に源泉を持っています。(・・・まだ続く)」
どういうこと?
「七栗」が源泉、と言うことかね。この「榊原温泉と安濃川を
隔てた場所に位置する」って言うけど、安濃川はかなり
別の場所に有る。間違いじゃないのか?
それと榊原温泉イコール七栗の湯、と思ってるんだけど。
などと考え始めたら、いよいよよくわからなくなってきた。
だから、まぁ要するに行ってみた、と言うこと。で、別に何も
解決していない。
ここ最近ずっと自粛自粛で悶々としとるから、健康の為の
散歩くらい許されるやろ、ということも理由の一つにある。
そんなわけで、くだんの場所。
今回はめずらしく先にインターネット博士に聞いてきて
あるから、実にスムーズに発見。
これが露天風呂跡だな。
はなっから散歩なので、こんな遠くからでも発見し、望遠。
近くからバシバシ写真撮るのは少々はばかられる程の
田舎だ。
私有地だろうから入らなかったが、温泉なんだから
ちょっとくらい湯の花の香りでもしないかな、とくんくん
やってると、その思いが伝わってか、一瞬硫黄の臭い
がしたように思った。(たぶん気のせい)
ふと長野川を見ると、川底がここだけ溶岩が流れ出た
ようになっている。
これだよこれ。きっと温泉だからだよ。
ひとり納得していたが、これ、別に何の裏付けも無いし
ネット特有のガセ、ってやつになっても困るから、
このサイトを読んだから、と言って信用はしないように!
それにしても、ここだけ溶岩に見えてきた。
まぁそんなわけで、ここが社宮司温泉で、現在も現役で
温泉を汲み上げてどこかに供給している、とはにわかに
信じ難かったが、まぁこの辺りのどこかにそんな施設が
有るのかは知らない。
そんなわけで、社宮司温泉をあとにし、次いで榊原温泉は
射山神社まで来た。
実は榊原温泉にはもう何度もお世話になっている。
三重に来てからでも、すぐ近くにもかかわらず宿泊したこと
すらある。
これはいつも撮影するお気に入りの木。(根っこが良い)
これは長命水「榊の井」だ。説明看板によると、
太宮神鳳抄によるとこの地を榊御厨七栗上村といい
榊の多いことから榊が原とも呼ばれていた。とのこと。
ちょっと覗き見。
射山神社の真ん前に長命水が有る、という配置。
これが射山神社。
境内に入り、左手には芭蕉翁反古塚が有る。
そして宮之湯の文言が。これこれ。
「 宮之湯
延喜式神名帳に一志郡射山
神社なるは 温泉の神 大己貴命
少彦名命 この二神を祭る湯之
大明神なり
湯之大明神の御社射山(貝石山)
にありし時は この温泉その山の
北の麓にあり
御社を今の所に遷すなれば湯も
また御社のほとりに湧きぬ
(榊原温泉来由記)
この七くりの湯また榊原温泉
というも 里人たちは宮之湯と
して語り継いできた
式内 射山神社 」
射山とは貝石山のことだ。
貝石山に近づいたところに榊原温泉の昔の源泉跡
が残っている。
そしてこの貝石山の八合目には御社跡が残っている
し、旧道には一の鳥居跡も有る。
榊原温泉の歴史は古い。いつの湧出かは分かっていない。
伊勢神宮との関係は深い。1500年前には神宮の湯垢離
(ゆごり)に使われ、身を清め、神宮へ向かった。
そして・・・あの清少納言枕草子に登場するのだ。
「湯はななくりの湯、有馬の湯、玉造の湯」
近くには湯治湯の東門跡が有る。
江戸時代には藩の管理下で、厳しい身分調べがあり
自由に出入りは出来なかったという。
これは位置を示すものだそうだ。
建てられている腕木戸は当時の図面からの想像で、
復元じゃない、と言うんだからもう、なんだか笑って
しまう。
2016年にはこう。
2013年には、若かった。
射山神社でもそうだったが、看板は来るたびに
いくらか更新されている。
さて、私的には本日のメインイベントである源泉を
歩いて回った。
まずは川を渡る。この橋もなかなかのものだ。
すぐに源泉2号、と言うのが現れる。
申請者は榊原泉源開発株式会社
榊原温泉(七栗の湯2号)
湧出量 60L/min ポンプアップだ。
下からも見てみようと思い、川沿いへ降りた。
対岸のホテルからの眺めを考慮して整備されている。
源泉2号がある、ということは1号も、と思って
さらに進むと・・・有った。
榊原温泉 源泉1号。
いい感じの橋も有る。
こちらも榊原泉源開発と書かれている。
望遠で大変失礼とは思ったけれど、こちらは榊原泉源開発。
さて、いよいよ湯元に向かおう。
道中、河鹿荘も眺めて行く。
いつも書くこのセリフ。
「誰か見てるんじゃないの?」
見られてる感覚。
登りたくなる衝動。
これもいつも言ってるな。
これは貝石山。
貝の化石が発見されることから有名になったらしい。
大昔は海だった、と言うことだ。
湯元跡に到着。
湯元跡
この泉源は
「神湯」と呼ばれ
江戸時代には
湯治場として
栄えた記録が
古文書に残されている。
又、清少納言が
「枕草子」で
七栗の湯と記
している名泉で
平安時代からの
泉源だったと云われ
榊原温泉
発祥の地として
親しまれてきました。
近くにはもう一つ国民宿舎 紫峰閣 の跡と言っていいのかな。
そんなのも有る。
ここ、でも絶対誰か住んでるよね。
ちなみにこちらは2016年。この時もやっぱり住んでたよね。