この界隈のどこからでも見えてかなり目立っている。
今ではすっかり有名になったけれど、ダムが出来た当初
は、「黒部ダム建設の時に使ってたやつなんだって」
「ほんまなん?」と言うようなことをよく聞いた。
今はちゃんと名前まで付いていた。
「クロベノエキ」
なになに? 黒兵衛の木? 黒部の木? 黒部のエノキ?
カタカナだとちょっと考えてしまうな。
クロベノエキ=黒部の駅 が正解のようだ。
しばらく来ぬうちに、みんなの念願叶って、一般公開
されていた。
壮観。
黒兵衛御座候。
あの階段を越えれば・・・でもなかなか越えない。
やっと登った。
なるほど、弧を描いている。
黒部ではケーブルクレーンがダム両岸に居て同時に
移動していたが、大滝に持ってきた時、片側で弧を描いて
移動するように改造したのだそうだ。
こちらが移動塔になる。
クモノタカダイのところに有るのが固定塔と言うことだ。
ダム建設のコンクリート打設に使った設備なので、
相当な強度を持ったものだろう。
ここに静かに座り続けることに、安全上の問題が
発生することは当分無いはずだ。いつまでもこの
状態を保持してくれることを願わんばかりである。
こうやって見ると、鉄道そのもの、と言う感じだね。
まぁ鉄道だけど。
残念ながら、運転席、と言うか操縦席は見れなかった。
こう言うのは、以外と草に埋もれていた時代の方が遠慮
無く侵入できたりするものだ。
ここからの景色は抜群だ。
ここでコンクリート打設に頑張った設備なのだから
当然こんな景色を見下ろせる。
建設に纏わる遺構は、これだけでなくまだまだ有るが、
とりわけコンクリート関係は撤去も大変なことが手伝って
残っているものが多い。
これはモノレール跡
今なにかに使われているわけではないので、完全に
遺構だ。
だから寸断されている。
駐車場の上にも一部。
駐車場界隈にはかつてバッチャーやセメントサイロが有り
基礎の遺構が今もある。
ここから望遠で、今回は行けなかった「クモノタカダイ」
が見えていた。
固定塔はいずこにあったのだろう。
建設当時、この先には原石山と骨材の一次破砕の
設備があり、コンクリの骨材はこの地で調達していた。
この上には建設事務所が林立していたと思うが、
今も何かしら現役のようである。
ここから下には骨材の二次破砕から石や砂をあの
モノレールで降ろしていたのだ。
建設当時、夜中の漆黒の山奥に突如現れるあの
明るい要塞はこの場所に繰り広げられていたのだ。
今は静かな山に戻りつつあるが、その時の遺構は
痛々しいほどに残ったままである。
こちらは別日撮影。原石山のほう。
堆積ダムからの放流、半円弧のループトンネル、ホッパー跡
かつてはここで一次破砕を行っていた。トラックで降ろして
いたのだろうか。当時ここまで来る勇気は無かったから
見ていない。まぁ来れなかっただろうけど。
ホッパーに乗ってみるの図。
林道終点は堆積場。
斜面を見上げるとまだ上に何か有るが行ってない。
さて、続いて白屋地区に行く。
いつもなら真っ先に来る場所だ。
道中の穴。
PC斜長橋の白屋橋。
立派な橋はかかったが、白屋地区は移転しなければ
ならなくなり、今は誰も居ない。
住居は移転しても通ってる方がおられるに違いない。
今は
企業・団体との協働による
水源地の村「未来への風景づくり」
こういうことになっている。
企業というものはいつの世も利益を求めているもの。
こういった活動がいつの間にか忘れ去られていた、
というようなことにならないでもらいたいと思う。
村の入口は獣害対策のゲートが有る。
新しい建物が建っていた。
家は残っていない。
ところどころにこんな穴が有って、水の流れる音が聞こえる。
この先へ送る電線は無し。
消防水利。
ここが一番高い場所では無いが、眺めが良い。
ダム湖面には、旧道が浮き沈みしている。
今日は天気が良く、気持ちが良い。
天気が良い時にしか来ないのだから、私はいつも
こんな風景しか見ていない。雨の日も風の日も
この地と苦楽をともにしてきた人々がこの地を離
れる、と言うのはどのような気持ちなのか。
閉山する鉱山を離れゆく人々と相通ずるものが
あるのだろうか。そんなことをつらつら想いをめぐら
せながら、暗くなるまでここで佇んでいた。
もう日が沈みかかっている。まるまる大滝ダム周辺に
居た一日だった。
充実してますね!
通いなれたはずの大滝ダムですが、ここまで踏み入れたことが無かったです( *´艸`)
すごく勉強になりました!
写真を拝見しながら、また同じ場所を訪問してみたいと思います♪
それってけっこう褒めてくれてますよね?
慣れてないもので。
調べたりするのが苦手なもので、いつも適当なことを言って
その道の人からは間違ってるだの何だのと言われております。
で、この日は朝から暗くなるまでダムに居て、本当ならば
原石山の頂上と、ダム湖に浮き沈みしている旧道も探索しよう
と思っていたのですが、叶わず、でした。私もいつか再訪し
たいと思います。
ではではまたよろしくお願いします。