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2016年08月08日

ルービンシュタイン、ホロヴィッツ、リヒテル、ポリーニ、アルゲリッチ、アシュケナージ、グールド、ヴォロドス、アムラン

タイトルはあくまで勝手なるわたくしの好きな順。

クラシックの世界にはまって、もうかれこれ45年以上
経とうとしています。

クラシックったって、その範囲たるや広大、広範囲だが
わたしの場合、古典からロマン派以降の特に器楽曲を
中心に、深いようで浅く狭く、長く聴いています。

一番の趣味であるにも関わらず自分のブログに書いて
いないのもいやだったので、ちょっとだけ書こうと思いました。
今回はピアノについて。


子供の頃の私はエレクトロニクスが大好きでした。
とりわけ回るものと光るものには目が無かったのです。
当時家に有ったレコードプレイヤーとテープ(オープン
リールでした)に興味がいったのは必然でした。

そんなある時、カセットテープが登場したのです。

しかしテープ速度がオープンに比べて4.8cm/sec
と遅くなったカセットの、特にワウフラッターに関しては
許し難いものがありました。

わたしは今もそうですが、オーディオでいうところの音
にはまったくうるさくはありません。良いにこしたことは
ありませんが、その向こうに有る演奏から発するエネ
ルギーが伝わって来さえすれば音質なんてどうだって
いいのです。

実際、昔から名盤と言われるものには、こと録音音質
としてはろくでもないものが多いのです。
つまり名演と言うのは、録音が少々悪くったって、十分
その魂は伝わるのです。
しかしワウフラッターが入ってピアノがホンキートングみ
たいに聞こえるのはダメです。音質は想像力でクリア
できても、音楽である以上音程は大切だ、と言うこと
なのでしょう。

かくしてカセットテープに対するワウフラッターとの闘い
が始まったのです。
オケだと気づきにくいですが、ピアノだとすぐにわかるの
です。家にあったケンプのレコードをカセットに録音しては
改善策を講じていました。モーターの改善、テンション、
キャプスタンとピンチローラーの圧等・・・
01.jpg

02.jpg

改善策の話は、置いておいて・・・
そのオーディオの改善の為に、素晴らしいレコードを入手
したのです。
それはガブリエル・チョドスがビクターに録音したピアノ
小品集で、76cm/secのハイスピードマスターテープに
録音したものをレコードにダイレクトカッティングする、
ダイレクトマスターと呼ばれているものです。
プレスで大量生産されるレコードとはまったく違い、素晴
らしい音質のレコードでした。
このレコードを、オーディオ改善の為に何度も聴いている
うちに、気づいたのです。チョドスの演奏が素晴らしいこと
を。そして、クラシックの素晴らしさを。
わたしにとって、この人の演奏は、いまだに、特にラ・カン
パネラは、スタンダード中のスタンダード。うちわのように
でっかい手から繰り出される余裕たっぷりの演奏は、跳躍
も楽勝。これを越える演奏はありません。
しかし、歴史のふるいは厳しいもの。CD化は一部を除き
されておらず、いまこの音源を入手するのはとても困難
です。





さて、すでにクラシックに目覚めていたわたしが次に出会う
のはこれです。
03.jpg

そう。ルービンシュタインが弾く珠玉のショパンハイライト集。
いまも似たようなハイライトのCDが有りますが、当時はLP
レコードだったので、A面、B面に分ける必要が有ったし、
LPは外周の方が良い音になるので、1曲目に重要な曲を
持ってくる配慮がされていました。A面1曲目は英雄、B面
1曲目は変イ長調の円舞曲でした。
04.jpg

ルービンシュタインを聴いたわたしは、もう完全にノック
アウト。なんとブリリアントなショパンなのでしょう。
英雄、そしてバラード1番。いまだにこれを越える演奏
には出会ったことがありません。
またチョドスも入れていた9−2のノクターンも素晴らしい
できばえです。

すっかりルービンシュタインの虜になったわたしはこの後
何十年もかかって彼のレコードを揃えていきました。
また2種類あるルービンシュタインの自伝はいまもわたし
の宝物です。

RCAの録音は、チョドスのそれとは時代も違うし、比較に
ならない程悪いものですが、ルービンシュタインがぶっ放
す素晴らしい打鍵と艶やかに歌うピアノの音色は、十分
過ぎるほど伝わってくるものでした。
ただし、ルービンシュタインはミスタッチをあまり気にしない
人だった為、レコードだと聴くたびに毎回同じミスを聴くこと
になる欠点が有ります。これを想像力で消すのは難しく、
むしろルービンシュタインはこの曲ではここで間違っていた
みたいなことを全て記憶してしまう羽目になってしまいます。
しかしクラシックの名演には録音の質もミスもあまり関係ない
ようです。45年経った今でも、良いものは良いです。







小遣いがあまりなかったわたしは、そんなにレコードを買う
わけにいかなかったので、だいたいの音源はFMのエアー
チェックで入手していました。 目当ての番組をタイマーで
マスターテープに録音しておいて、後で編集するのです。


クラシック界は一様に一定のレベル以上の演奏がそろって
はいますが、その中でも突出しているのが、後世に残って
いくものだと思います。その尺度の一つがコンクールです。
いろんなコンクールの中でもショパンコンクールだけは別格
で、その覇者達の演奏だけは一度聴くだけでインパクトの
有るものばかりです。
ポリーニ、アルゲリッチ、ハラシェビッチ、ブーニン・・・






05.jpg

ポリーニを初めて聴いたのは、別れのエチュードでした。
有名な曲ですが、以外と名演は少ないのです。
ぶっちぎりのテクニック。高密度の音の粒の中から浮かび
あがる歌。この曲も含むエチュード集は全て素晴らしい出来
です。
12年の研鑽を終えたポリーニは、正確さの上に成り立つ
歌を携えてクラシック界に戻ってきて、この練習曲集の録音
に挑んだのでした。
いまなおこの演奏を越えるものは有るのか無いのか・・・
いずれにせよ、その後に出てくる演奏は、みなこの演奏
と比べてどうか、という評価をされることになるのです。
ショパン演奏の歴史と、コンクールの歴史をも変えた素晴
らしい演奏家です。いまも第一線。










06.jpg

アルゲリッチ。情熱のピアニスト。
何がすごい、と言って、それはもうほとばしるように沸き上がる
情熱にまったく負けることも溺れることもない腕力とテクニック。
これまた唯一無二の存在です。
ポリーニとはまったく違うタイプなのにショパンコンクールの
覇者。ショパンコンクールの凄さをあらわしている一面でも
あると思います。
初めて聴いたのはリストのロ短調ソナタです。もうものすごい
の一言。あのベルマンの迫力をも超えてしまっています。
中途半端だと下品になるのでしょうけれど、完全に突き抜けて
います。リストのP協、チャイコのP協、プロコのP協3番なんて
誰にも文句を言わせない名演です。逆にショパンはこれで
良いのか、と思わせる面もあります。










07.jpg

小学4年生のころだったか、もっとも衝撃的な演奏に出会い
ます。
ホロヴィッツの弾く幻想ポロネーズ。いままで聴いたことの
ない音の世界。青白い閃光のごとく炸裂するパッセージ。
すばらしいコントラストを持った弱音。中間部で出現する
ノンレガートのトリル。終始楽譜からはみ出してしまっている
この演奏は、ホロヴィッツの天才を感じると同時にショパンの
天才をも感じるものでした。ホロヴィッツ2回目の復帰の後
のライブ録音。どうしたらこんな解釈になるのか。
このころのわたしは寝ても覚めてもこの演奏の事を考えて
いたものです。
ホロヴィッツこそ録音音質に関係なく、ホロヴィッツの世界を
伝えることができるピアニストだと思います。どんなに古い
録音でも、らしさが完全に出ていて、それがホロヴィッツの
演奏だということがわかります。ただ自動ロールの演奏では
それがわかりにくいところを見ると、タッチに魔法があるので
しょう。不世出の天才と言えるでしょう。












08.jpg

鉄のカーテンの向こうから先に出てきていたギレリスが自分
よりも凄い、と言ったことで有名だったリヒテル。
噂以上の凄さを持って登場しました。天才的な記憶力と初見
力に加え、恐ろしいほどの練習量。そして大のクラシック愛聴家
であったことが最近知られています。
興が乗った時のハチャメチャとも言えるスピードと強靱なタッチ
は、全て、あの落ち着いた時に見せる絹のようになめらかな
指さばきと、心のひだに分け入るような深い読みに関連して
いくのです。わたしはあの強靱なテクニックで弾かれるラフマ
ニノフも好きですが、シューベルトの18、19、21が素晴らし
いと思っています。20が無いのが残念ですが、リヒテルは
全集には興味の無かった人なので、20を録音しなかった、
ということもリヒテルそのものなのでしょう。


ルービンシュタイン − ホロヴィッツ
バックハウス − ケンプ
リヒテル − ギレリス
ポリーニ − アシュケナージ − アルゲリッチ
グールド − グルダ
ヴォロドス − アムラン(もちろんマルカンドレの方)
   ・
   ・
   ・
まだまだありますが・・・ よく言われる対です。
こうして見ると、時代は常に対になって天才を生んできた
ようにすら思えます。グールドとグルダは無理が有るか。
でもそういう特集は聞いたことがあります。












09.jpg

グールドはカナダの生んだ天才です。音的にはホロヴィッツ
の対局にあり、ホロヴィッツはアクション(ピアノの部品)が
軽めで、硬い音のピアノを好んだそうですが、グールドは
アクションの重いものを好んだそうです。
早くに亡くなったのですが、演奏家人生の大半をスタジオ
に注力していたこともあり、多くの録音が残されていること
が私たちへの救いでもあります。
天才であるがゆえに、わたしには理解のできない演奏も
ありますが、バッハはとにかく感銘を受けます。
バッハと言うと変な白い髪の毛のおっさん、というイメージ。
そしてグールドは変な猫背のうなりながら演奏するおっさん、
という見た目のイメージは、演奏によって一気に吹き飛んで
しまいます。バッハが愛おしくて、グールドが可愛くて仕方
がなくなってしまいます。恋愛に似た感情です。音楽の持つ
魔法ですね。










10.jpg

同じくカナダが生んだ天才。マルカンドレ・アムラン。
わたしが初めて聴いたのは2006年にハイペリオンから出
てきたアルカンの協奏曲(ピアノ独奏曲です)。これが2回目
の録音であることは後で知りました。
数あるアルカンの曲の中でも、この協奏曲は名曲中の名曲
である、ということをアムランの演奏で初めて知ったのです。
アルカンの曲で感銘のあまり涙が出たのは初めてのことです。
ショパンの横っちょでこんな素晴らしい曲を書いている人が
居たなんて。
2回目の録音であることを知ったわたしは1992年にミュージック
アーツから出た初回版を入手しました。
これが、もうただただ素晴らしいの一言に尽きる名演中の名演。
ほとんどノンペダルでクッキリと弾かれるアルカンの名演は
もし、これがグラモフォンから出ていたら・・・ポリーニにも匹敵
するほど有名になっていたかもしれません。
ちなみにアルカンは難し過ぎて、いままではろくな録音が
無かった、というのが現実です。

一般的に、メジャーでは食えない、と思うピアニストはマイナー
に走る、と言われていますが、アムランだけは違うように感じ
ます。アムランが音楽に喜びを感じている部分は、ロマン派
のピアニスト達と違うからじゃないかと思うのです。
アムランは最近になって逆にメジャーにも力を入れ始めました。
アムランの弾くラフマニノフやショパンをぼんやりと聴きながら、
アムランは今までの20世紀の名手たちとは違い、音階が織り
なすメロディーが作り出す歌心に宿るエネルギー、みたいな
ものには無縁なのじゃないか、と思い始めたのです。
ラフマニノフやショパンの持つ、ここ一発の見せ場で、アムラン
は実にあっさり、スーパーテクニックで苦もなく弾いてしまい
ます。昔、ポリーニがそのテクニックがゆえに冷徹、と言われて
いましたが、それともちょっと違う感じです。単にうま過ぎるから、
という一言で片づく問題では無さそうです。アムランはもっと
数学的というか、連続性の有る造形美のようなものに音の美
を求めているのではないでしょうか。そうやって聴くと、むしろ
つまらなさそうに弾いているラフマニノフやショパンにもアムラン
にとって新しい美がみつかったんじゃないか、と思えてきます。
わたしはアムランが弾くラフマニノフを聴きながら、逆に20世紀
のホロヴィッツやルービンシュタインが如何に凄かったかを教えら
れた気がします。アムランが進んでいく今後にとても興味が有ります。










11.jpg

近年は一様にピアニストの技術的レベルが上がったと思い
ます。それは医学的見知や、練習方法の確立などが関連して
いると思います。
そんな中で、テクニックで群を抜いている、ということ自体、
大変すごいことだと言える時代になったと思います。
そして、そんな人が・・・
居ます!ヴォロドスです。これはもう見た目にはびっくりする
ような巨漢なのですが、演奏すると、これまたびっくりする。
「機敏なデブ」、と言ってはとても失礼ですが、その演奏と見た目
は違和感有り有りです。
初めて聴いたのは、ハンガリー狂詩曲の13番ですが、素晴ら
しい演奏と編曲と詩情。
ホロヴィッツが編曲したものも演奏したりするので、ホロヴィッツ
の再来、などとも言われていますが、そんなことを言ったら
ホロヴィッツにもヴォロドスにも失礼だと思います。
ホロヴィッツの持っている病的な鬱屈が炸裂するような青白い
閃光はヴォロドスには無縁。むしろ豊かで明るいイメージです。
わたし個人的にはホロヴィッツ編のものよりもヴォロドスオリジ
ナル編のものを彼自身が弾いている方が遙かに聴き応えが
あって好きです。メジャーな作曲家群に関してはいささか
レパートリーが無いのか弾かないだけなのか・・・すでにもういい
年齢になっていることから、目指すべき方向に興味が有るピア
ニストです。

好きなピアニストなら、まだまだ居ますが、勝手なブログよろ
しく勝手な散文に勝手な終結です。
これが指揮者とオーケストラ、となるとさらに話がややこしくなり
ます。 いつの日かまた・・・





posted by Shimneti at 00:25| Comment(4) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ふ〜ん
かなりの音楽好きですね〜。かくいう自分は、いい音を安く聞きたいのでアンプやスピーカーBOX自作していましたが、結局メーカー製で今は揃えています。さて、カセットでも、LPよりも音はいい。音のひずみはLPの内側ほどでないように感じます。一番は、オープンテープの音源です・・・一番きれいに聞こえます(ダイナミックレンジ・なめらかさなど)が、音源は少ない。LPでもダイレクトカッティングされた、特殊なものが存在します。作曲家や指揮者から送られたLPを持っていたレコード店オーナーに聞かせてもらったが、肉声やピアノの音が本当にきれい・・リアル(目の前で聞いている・演奏が見えるよう)でした。音楽ネタも楽しみにしてますよ。
Posted by bandlover at 2016年08月20日 08:17
ご無沙汰しております。毎度斯様な勝手なる記録におつきあい頂き
恐縮です。

音もいけますか? 自作もされるし、好きなこと多し、ですね。

私のほうは聴く音楽は超偏ってるし、ウンチクなんて垂れだしたら、
変人ぶりを発揮してしまうから、なんぼ勝手な記録と言ってもブロ
グなんかに書いたらだめだなぁとあらためて感じましたよ。本音が
書けないからだめです。

それに比べてダムや鉱山などには、そんな変なプライドを感じない、
と言うのもあらためて感じましたよ。

オーディオは昔の安物のラジカセやら、機器を今も所有していて、
たまに聞いてみたら、懐かしい前に、思わずあまりの音の良さに驚
いたりします。今は何でも安く簡単に便利に作ってしまって、メー
カーの音への心意気みたいなものが無くなってしまったような気が
しますね。
仰せのようにカセットもメタルテープなんて相当良い音してました
もんね。専門家が録った”オープンテープの音源”これは聴いてみた
いものです。LPで良い音、と言うのはそもそも難しいと思うので
すが、機器に相当のお金をかけるとここまで良い音になるか、とい
うのはありますね。ダイレクトマスターのLPは、なんだか溝が浅
い感じで、無傷の良い音を維持するのはなかなかむつかしいと思っ
たものです。 ではではまたよろしくお願いします。
Posted by shimneti at 2016年08月21日 17:56
こんにちは。充電式電池の充電器の記事が検索にヒットし、今日初めて読ませていただきましたが、このような素晴らしい記事に出会えるとは思いませんでした。

クラシック音楽を、出来ればたくさん聴きたいなと思っている初心者ですが、この記事で主様の45年の経験とその重みを感じました。良い記事を読ませていただき感謝します。また、私にはこの記事は大変心強いガイドとなります。

こちらのブログの他の記事も、後ほど拝見する予定です。ありがとうございました。
Posted by るうーと at 2016年11月01日 14:32
お返事が遅れまして申し訳ないです。

まるでとても良い記事のようにコメントを頂き、恐縮いたす限りです。
ありがとうございます。

そして、私の気になるのは、充電器のどんなことを検索されていたの
でしょう?というところ。気になりますね〜。


いや・・そんなことよりクラシック。
クラシックをたくさん聴きたいと仰せの方が、こんなかたよった記事を
ガイドにされる、と仰せだという時点で、すでに好きなタイプの演奏家
もしくは曲が有るのではないでしょうか。むしろそちらのほうに興味
があります。良ければお教えを。

現在の演奏家やその録音が、数十年後にはどのように残っているのか、
と想像しながら聴くのも楽しいですが、逆にひとむかし前の録音なのに
いまなおみんなに聴かれている演奏と言うのは、間違いなく、厳しい
世間と歴史のフルイにかけられて残ってきた強者達です。
私自身は、それらをやっと好き嫌いなく聴けるようになってきた思え
ているところです。

クラシックとは何の関連も無いところがメインのブログですが、引き
続きよろしくお願い申し上げます。
Posted by shimneti at 2016年11月02日 23:45
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